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2008年10月 1日 (水)

2006年1月、佐藤大輔、視聴率のからくりを語る

2005年大晦日の「男祭り」と「ダイナマイト」について

・前提として、大晦日の「男祭り」については、フジテレビ的には、とんでもない低い視聴率でなければ、それほど高い数字じゃなくてもいい。だから今回は、視聴率獲りすぎです。僕らは紅白に勝とうなんて毛頭思ってない。本当に紅白に勝とうと思っていたら、こんな構成しちゃダメです。K-1と協力して、紅白の視聴率が下がるようにもっていかないと。 小川vs吉田級のカードを3つぐらい用意して、さらに話題性だけはある有名人の挑戦を3試合ぐらい用意しなきゃいけないだろうし、要するにそういった「歪んだイベント」にならざるを得なくなる。TBSは本気で「紅白に勝ちたい」と言っていたが、僕らは全然そんなことは思っていない。おそらく小川vs吉田戦を紅白がニュースの間にやっていたら瞬間的にNHKを上回っていたと思うけど、あえてやらなかった。

・会社から{「ダイナマイト」をつぶしながら23時までのプライムタイムの視聴率を上げなさい}という指令がきていた。それが「PRIDE」の利益になるし、我々としても大事な平均視聴率を取ることができると。
・今回は1部、2部、3部の時間の分け方が巧妙だった。しかし「小川vs吉田」は、結果的に一番恐れていた「曙vsボビー」とかぶってしまった。これは完全に事故。ぶつかりそうだと分かった時、放送前に関係各所に「ぶつかるけどいいか?」と聞いてまわった。(「男祭り」はフジテレビ的にも大きな番組だから、制作の一存じゃ決められない)。そしたら「いいですよ、23時までダイナマイトをつぶしながら、視聴率を取りましょう」と言われた。そういう意味で言うと、会社的な目標は十分達成できた
・本当に瞬間で紅白を越えようと思ったら小川vs吉田を21時15分にやってます。少なくとも30数%いってたかもしれない。でも、そこで小川vs吉田をやっていたら、そこをピークにしえ、それ以降の視聴率をTBSにごっそり持っていかれた可能性が高かった。それが怖かった。でも小川vs吉田が後ろの方にあることで、視聴者は「いつ始まるんだろう」とザッピングしながらも「男祭り」をベースに観てくれたと思う。この「ベースをうちに」というのが平均で「ダイナマイト」に勝つためには大事だった。出た視聴率も構成も、ほぼ作戦どおりではありました。計算外は藤田vsノゲイラの試合が組まれると考えていたが、それがなかったこと。それがあれば3部もいい数字が出ていたと思う。
・(フジテレビ的に一番評価されているのは)もちろん小川vs吉田戦です。21時以降「ダイナマイト」と競り合いながらも勝っているというのは、小川vs吉田の期待値で勝っていたと思う。ベースはフジだった。毎分視聴率を分析してみると、ほとんどCM中とか入場シーンの時に向こうに流れているだけ。
・僕らがこの「男祭り」を大晦日に6時間近くにわたって放送することで世間に訴えたかったことは、小川vs吉田戦を楽しみにしてもらいながら、かつミルコらの試合の面白さ、ヒョードルのとてつもない強さ、シウバvsアローナの緊張感、そして五味、桜庭、美濃輪選手らの素晴らしさを知ってもらいたかった。高視聴率をずっと保ち続けることで、それが実現できたことが一番大きい。
・金子vsベネットは「PRIDEらしくない」という批判もあったが、相手をベネットにすることで「PRIDEらしさ」を保ちながら、いい「つかみ」にもなった。それに金子さんの試合が瞬間最高を獲ったというのは、その時間はNHKが紅白の合間のニュースで、TBSがCM中だったから一瞬上がっただけですから。もし金子さんの前に放送した桜庭vs美濃輪が、その時間帯だったら絶対瞬間最高を獲ってると思います。金子の試合への興味ももちろんあったが、それが一番ではなかった。またいわゆる浮動票というのも確かに大事。だから今回、いろんな批判はありましたが、これまで「PRIDE」を見たことがなかった人が、金子さんが出ることで初めて見る機会になってくれていたら、それはそれでいいことだと思う。それより、金子さんの瞬間最高よりも、桜庭vs美濃輪がサップvs武蔵に勝ったことの方が大きいです。
・大晦日はレギューラーシーズンとは違うオールスター戦をやっているんだということを分かって欲しい。一般の人がプロモーションに反応しやすいカードを用意しつつ、本当に見せたいのはミルコでありシウバ、五味、桜庭なんです。ここで彼らを知って、またレギュラーシーズンを楽しみにしていただきたい。
・(金子が瞬間最高を取ったことで「PRIDE男祭り」はますます芸能化に拍車がかかるだろうということファンは懸念してるが)絶対、そんなことないでしょう。そんなことしたら、レギュラーで年間何回も放映できるわけありませんから。ただ大晦日だけは、一つぐらい「撒き餌」があってもいいかなという気もしますね。ただし、その際、僕らがやるのは金子vs芸能人ではなく、金子vsベネットということです
・僕ら制作サイドはアナウンサー、ナレーターも含めてみんな格闘技が大好きで「彼らの凄さを多くの人に伝えたい」という人間ばかり。だから、このソフトを息の長いものにしていきたい。これは番組のチーフ・プロデューサーである清原も全く同じ意見です。確かに金子の試合を提案したのは清原だけど、そこは変えてません。
・小川vs吉田のようなビッグカードは毎年用意できるものじゃないと思いますけど、それが用意できないからといって、へんなあがき方をして、ソフト自体の地盤沈下を招くようなことは絶対しちゃいけません。そう考えると「紅白越え」は狙っちゃダメなんですよ。榊原代表は「小川vs吉田で視聴率50%を狙う」と言ってましたが、そんなこと本心では絶対思ってるはずないですから。
・ぶっちゃけた話、来年は負けてもいいですよ(笑)。変な方向に行くよりはね。目先の視聴率を取るためにソフトを壊すようなことはしないと。こう話していると、視聴率って馬鹿馬鹿しいでしょ?それを気にするのが僕らの仕事なんですけど。そういった数字以上に、見ていたみんながどう感じたかを基準にして欲しい。

・(この男祭りでは金子vsベネットが瞬間最高27.7%を獲得したが、それは紅白がニュースに入り、TBSがCMに入ったことが大きかった。細かい視聴率のデータを見たら、決して良くはなかった。TBSの武蔵vsサップの方が高視聴率だった。金子vsベネットの瞬間最高は火事場泥棒的に獲得したものだった)
・男祭り、OP:19.6%、シルバvsトンプソン:20.4%、ヒョードルvs藤田(VTR):20.4%、瀧本vs菊田(VTR):19.7%、ミルコvsシウバ(VTR):25.4%、 サクvs美濃輪:19.7%、金子vsベネット:27.7%、ミルコvsハント1R:22.9%、 ミルコvsハント決着:20.9%、ヒョードルvsズール:14.7%、シウバvsアローナ:21.9%、小川vs吉田:25.5%、ハッスル・マイク22.8%、アレキvsナツラ:14.8%、 ヘンダーソン:10.5%
ダイナマイト、所vsホイス:22.1%、永田vsレミーガ:13.3%、曙vsボビー:25.8%(2回)、矢沢永吉:12%、KIDvs元気:22.9%

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