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2008年9月29日 (月)

見るたびに違和感を残すTBSの格闘技中継(抜粋)、その1

ナンバーNo.703の記事の抜粋(2008年5月頃の記事)

*TBSのテレビ格闘技は魔娑斗、KIDなどのスター選手を生み出し、2003年のダイナマイトでは紅白歌合戦を越える瞬間視聴率を獲得した。一方でその手法は「お茶の間向け」とされ、マニア層から批判を受けることも多い。そこで映像作家(押切伸一)と構成作家(藤原道仁)2人にTBSの格闘技番組を分析してもらった。(サンプルは2007年7月16日のHERO'S~ミドル級世界王者決定トーナメント)
・(番組の一番最初はKIDの映像から始まることについて)大事なのは、とにかく最初に有名な選手を映すこと。その大会に出てなくても構わない。いわゆる「つかみ」という奴で、これはテレビの常套手段。ここで視聴者を引きつける。最初だけでなく要所要所に入れている。そういう支持が絶対に出ている。

・この大会で一番人気があるのは所英男だと思うけど、その所の煽り映像を番組の真ん中あたりで流していた。「またぎ」用にも使っている。9時台から10時台に「またぐ」時間帯に人気選手を出して、たとえば「報道ステーション」にチャンネルを変えられるのを防ぐ
・(所の煽りVからCMに入り、CM明けがマヌーフの試合で不自然な感じがしたが)
普通のスタイルです。控室レポートとか、「この後すぐ」でずいぶん引っ張ったり。それはフジでもやること。でも確かに、TBSはかなり唐突な感じがある
・「何分台に誰の煽りVを入れて、CMが何秒杯って、その次に...」という計算を、スタッフはもの凄く綿密にしてます。他のチャンネルでは何をやってるかとかも含めて
・(煽りVの後に違う試合が入ることで大会の流れが分かりにくくなっていると思うが)
大会の流れをしっかり見せるより、視聴者の目に止まって、チェンネルを移動させないことが大事だから。地上波の基本的な考え方は「客はすぐに逃げるもの」ということ。テレビ局が狙っているのは「格闘技マニア」と呼ばれるような人たちではない。ちょっとでもつまらなかったらチャンネルを変える、浮動票を取り込みたい。そうなると大会の流れを反復するより、人気選手の映像で視聴者の目をつなぎとめないといけない。2時間のつながりのある「作品」ではない
(大会をしっかりみせるよりも裏番組に負けないことがプライオリティであると?)
それは当然。視聴率を取れなかったら、番組が続かないですから。
・番組のエンディングも視聴率重視でしょ。試合が終わった次の瞬間には終了。唐突な感じだけど、TBSでは決め事になっている。
・(フジでは試合後の選手の様子やマイクアピール、解説者の総括コメントを比較的長く放送してますよね)
それはスタッフの生理の違いですよ。フジはスポーツ中継の生理でK-1を作っている。「いくら視聴率が欲しくてもバラエティ作ってるわけじゃない」という。TBSはスポーツ中継としての生理で作られていない。スポーツ中継の生理だったら、何かを背負った闘った選手が、闘いを終えてどんな表情をするのか、そこを見せたいはずなんですよ。マイクでどんなことを言って、それが次にどうつながるか、とか。その要素をTBSはドライに捨てている。余韻から生まれる物語の連続性みたいなものを重視してない。目指してる面白さの質が違う。それで視聴率を取って魔娑斗やKIDをスターにしたんだから評価すべきですよ。
・フジには「すぽると!」があるから、スタッフもいろんなジャンルがあるスポーツの一つとしてK-1を捉えている。TBSにはサッカー番組はあるけど、スポーツ全体をしっかり扱う番組はない。その代わりに「情熱大陸」を基準にしているかもしれない
・(格闘技マニアから批判されることの多い、煽りVの手法についてはいかがですか)
有名選手とそうじゃない選手を絡めるのが常套手段です。柴田vsハレック・グレーシーでは、柴田の師匠、船木誠勝をフィーチャーしてるし、ハレックの方は、一族の重鎮・エリオじいさんを多用している。引きの強い人を弱い人に絡めるという意味ではアンドレ・ジダもそうで、「桜庭が認めた男」というのを強調する
・(家族や貧しさをテーマにすることも多い)
勝村周一朗も、そのパターンでした。養護施設で働いている「リアル・タイガーマスク」という切り口で、子供たちと触れあっている場面なんか、TBS的には最高でしょう。どんな名優も子供には敵わないというのがセオリーだから。となると、これから重要なテーマは、家族、大家族、ラーメンあたり
・(所のフリーターや宮田の五輪出場など、同じテーマを何度も繰り返すのもTBSの特徴ですね)
「こする(繰り返す)」よねえ。そこも地上波の基本スタンスなんですよ。「総合格闘技のことなんか誰も知らない」っていう。だから何度も繰り返すんです
・選手のキャッチフレーズとかテロップがもの凄くざっくりしている。所の武器が「関節技」とか。アームバーとか足関節とは言わない。マヌーフにキャッチにいたっては「猛獣」そのまんま(笑)。フジではサム・グレコを「拳獣」にしたりするけど。そうやって技術とかファイトスタイル、競技の特性を啓蒙するわけですよ。フジがこするのはセフォーの「ブーメランフック」とかボブチャンチンの「ロシアンフック」なんだよ。そこを刷り込んでおけば、試合中に「必殺技が出た!」と思ってもらえる
・TBSは競技性を啓蒙するよりもスターを作り出す方に力を入れている。だからジャンルとしての魅力が掘り下げられないままで、格闘技ファンとしてはいらただしい。
・今の格闘技中継はフジのK-1が確固たるスタンダードとしてある。それはヘビー級だから競技自体が分かりやすかった。でもTBSはゴールデンで中量級、さらに総合格闘技を放送してる。だから分かりやすさに走るしかない。浮動票をつかむために、ドライに割り切るしかないでしょう。
・もちろん格闘技ファンというベースの層もある。浮動票は上積みであってね。そのベースの層をフジはTBSより多いと見ている。フジの方が格闘技中継の歴史が長いから。フジは格闘技というジャンルに対してやや楽観的で、TBSは悲観的という違いがある

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