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2007年9月17日 (月)

見事に失敗したリティの3-4-3

ヴェルディ 2-0 アビスパ

ヴェルディ
     フッキ
飯尾     ディエゴ       廣山
     佐藤   菅原
服部 富澤  萩村  海本
      GK高木

アビスパ

 アレ  リンコン 長谷川
久藤 布部  城後  田中
   チェコ  亨  長野
     GK神山

控え:GK六反、川島、宮崎、恭平、鈴木

守備時
     アレ  リンコン  長谷川

      布部     城後
久藤 チェコ 亨 長野  田中
     GK神山

2点目取られてから

       リンコン 長谷川
          アレックス
久藤                     田中
       布部   城後
   チェコ  亨   長野
       GK神山

審判:小川 直仁

リティは新システム3-4-3を導入する。3-4-3といえばアヤックスだが、
その絶頂だった時はやはり94-95シーズンにヨーロッパの頂点を獲った時だろう。
(クライフの時代は全く知りません)

その時は
              カヌ
オフェルマルス                Fジョージ
               リトマネン
  セードルフ         Rデブール
              ライカールト
Fデブール   ブリント  レイジハー
           GKファンデルサール

のシステムだった。多彩なパス回しと両ウィングの攻撃力、リトマネンの創造性、そしてライカールトの高い能力(もちろんその他の選手の能力も非常に高かった)、各選手のポリバレンス性、それがあの攻撃力を生み出していたと思う。
非常に攻撃的だが日本人では難しいと思われたシステムだ。個人的にはJリーグでこの「3-4-3」で成功したチームはないと記憶している。広島でヤンセンが導入したが成功せずに終わったことが今でも印象深い。

3-4-3のシステムを見た瞬間に嫌な悪寒がしたのだが、試合が進むにつれて機能しないことがはっきりしていった。(もちろんかなりの暑さのため、前半は迎え気味に行ったこともあるだろうが)
まず攻撃面では、右サイドは長谷川&田中、左サイドはアレ&久藤のコンビで崩そうという狙いがあったのだろうが、全くサイド攻撃が機能しない。
長谷川はよく動いていたが、田中ほどのスピードがないためにサイド突破がなくなった。また長谷川が蓋をしてるために田中の特長(スピードに乗った縦への突破)も消えてしまった。
さらにポジショニングが左サイド重視となっていたため、機動力や神出鬼没なフリーマンとしてのアレックスの特長も消えてしまった。さらに左サイドに活動範囲を狭められたため久藤(この日の出来は良くなかったが)のゲームメイク能力も消えてしまった。このシーズン、アビスパの高い攻撃能力を支えていた、これらの武器を見事に消してしまったのだ。(数少ないチャンスは田中や久藤が上がっていった時に作っていたと思う。ただし守備のタスクが多かったため、その機会は数少ないものになっていた)
一方、ディフェンス時には久藤と田中がDFラインに入るため5バック状態に変わる。そしてバイタルは布部&城後がカバーする。5-2-3という状態ができあがるため中盤でのこぼれ球が拾いにくくなり波状攻撃を受けやすい。またリンコン&アレックス&長谷川の3トップは純粋に縦へ突破するスピードが不足しているためカウンターも迫力不足になる。
新聞では超攻撃的なシステムと書いてあったようだが、スタジアムで見る限り3バックのカミカゼシステムの修正版としか見えなかった。カミカゼシステムは両サイドの裏を突かれCBが引っ張り出されることによりディフェンスが破綻し機能しなくなった。そのため、この修正版ではCBが引っ張りだされないように5バックにしたが、それは攻撃の機能不全を呼ぶことでしかなかったと思う。この3-4-3はアヤックスのような攻撃的なシステムではなくかなり守備的なシステムでしかなかった。またしてもリティはベストバランスを見つけることはできなかった。おそらくシーズン終盤まで、リティはベストバランスを見つけることが出来ずにシーズンを終えるだろう。その迷宮に入った最も大きな原因はやはりホベルトを切ったことだ。世界中のシステムで一人は必要な守備的MF(危機感知能力が高い。フィジカルが強い。そしてスタミナと運動量がある。バイタルエリアで相手の攻撃をフィルタリングする)の存在をリティはアビスパから無くしてしまった。リティが迷宮に入り込むのは必然だったような気がするのだ。

後半、2点目取られてからは、田中と久藤が高い位置取りをしはじめ、布部が上がっていくことで攻撃には厚みがでるようになっていった(チャンスもいくつか作り出していく)が、ボールを取られた時には、中盤&バイタルがスカスカで、カウンターから点を取られる危険性がかなり高い状態になっていった。もちろん2点負けてる状態では、考えられる手だが、こういう時にこそ、危機感知能力に優れる潰し屋タイプの選手(ホベルト、日本人で行けば今野か鈴木啓太)が一人必要になるのだが..。ヴェルディのカウンターの精度が良ければ、この試合4,5点取られていてもおかしくなかったように思う。

リティの3トップ(3-4-3)は失敗に終わった。もちろん時間をかけて連携面が良くなれば、少しは機能していく可能性もあるかもしれない。だが、最終第4クールになって新しいシステムを構築してる段階で、失敗は明らかだろう。
戻るべき基本のシステム(バランス)、オプションでビハインド状態である程度リスクを負って点を取りに行くシステム、守備に比重を置きカウンター狙いのシステム、試合を壊すため、リードを守りきるためのシステム。世界にはいろんなバランスがある。もちろん基本のシステムのまま、選手交代によってバランスを変えるという方法もある。
リティは、今シーズン、さまざまなシステムを試行錯誤したが、結局、何が戻るべき基本なのか定めることがついにできなかった。そのことは監督の能力、引き出しの少なさを証明している。リティの限界は明らかに見えている。この状態でも監督交代、休養、もしくは傀儡政権にすることもせずにシーズンを終えた場合、アビスパに残るものは、大きな徒労感しかない。

現段階ではリティはアビスパにふさわしい監督ではなかった。
1シーズンでJ1に戻ることを目標にし「育成」を全く考えずにシーズンを過ごした。その上で、一番重要な「結果」を残せなかった。その点ではジーコに似ているだろう。ジーコも結果に拘りメンバーを固定し、そして一番重要なW杯ではチームをまとめることができずに惨敗した。その後に残ったものは、若い世代の圧倒的な国際経験の不足だった。(ある人はそれを「焼け野原」と言っていたな)そのツケをオシムは今払っている。
次のアビスパの監督は、リティが残したツケをまず払うことからスタートしなければいけないだろう。次の監督の能力にもよるが、2,3年は我慢を強いられるような予感がしている。
スタートは早ければ早いほど良い。まずは次の監督を決めて、その上で編成を考える。他のチームに比べると早いが、アビスパはそのスタートを切るべき時期に来ているだろう。

リティは、しばらくJでの仕事はないだろう。ドイツでコーチ見習いから出直してもらった方が本人の将来のためにはいいのかもしれない。

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