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2007年8月18日 (土)

気候面から見たフランスW杯における開催国の有利な日程の組み方

しつこいようだが、長期の大会で、気候面の違いがもたらすものについて考えてみたい。
W杯においては、1998年のフランス大会で、開催国フランスは自国開催の利点を生かし、フランス代表に非常に有利な日程を作ることに成功したように思う。

まずはフランスの月別気温をみてもらいたい。
http://www2m.biglobe.ne.jp/~ZenTech/world/infomation/kion/france.htm#Marseille

       パリ6月、7月、、マルセイユ6月、7月
平均最高気温(℃)21.8、  24.4、          26.1、 29.5、
平均最低気温(℃)13.3、  15.5、          16.0、 18.7、
        リヨン6月、7月
                23.5、 27.0
                 13.1、 15.6
北フランスのパリと南フランスのマルセイユでは約5℃の違いがあり、パリとリヨンでも約2℃ほどの差が存在する。フランスW杯当時、現地には開幕から決勝T1回戦までしかいなかったが、起点をおいていたパリとマルセイユ&モンペリエなど南フランスでは暑さが全然違っていたことは体感していた。

次にフランスW杯の時の日程
決勝T1回戦
6/28、フランス 1-0(延長戦)パラグアイ(ランス、北フランス)
6/27、イタリア 1-0 ノルウェー(マルセイユ)

準々決勝
7/3、フランス 0-0(延長PK)イタリア(サン・ドニ)
7/4、クロアチア 3-0 ドイツ(リヨン)

準決勝
7/8、フランス 2-1 クロアチア(サン・ドニ)
7/7、ブラジル 1-1(延長PK) オランダ(マルセイユ)

決勝、7/12、フランス 3-0 ブラジル(サン・ドニ)

フランス代表は決勝Tに入ってからは、まず北フランスのランスで試合をして、あとはパリ近郊のサン・ドニにずっと居座った状態だった。対する相手はより気温の高いマルセイユ、リヨンで試合をさせ、そして必ずサンドニまで長距離移動させる日程であることが一目瞭然だろう。フランスは対戦相手を暑いマルセイユでじっくり焼いて疲労させた後で対戦するという作戦を組んでいた。マルセイユで試合をした場合とサン・ドニで試合した場合、暑さの違いにより、マルセイユで試合をした方がより疲労がたまるだろう。
もちろん、これは細かいディテールにしか過ぎない。だが、力の接近したビッグマッチにおいては、この細かいディテールの違いが勝敗を分けるのもサッカーという競技のもつ一面であることは間違いないだろう。1998年のフランスは勝つために日程面においても万全に準備していた。そして代表チームとジャッケは、運を味方にしながらも、それを結果に結びつけるだけの実力があったということなのだろう。

ちなみに、2004年のアジアカップにおいては開催国・中国が、この気候面の違いを利用しようとしたように思う。
http://www2m.biglobe.ne.jp/~ZenTech/world/infomation/kion/china.htm

      7月(最高気温)、8月(最高気温)
北京、  30.8℃、         29.4℃
済南、  記録なし、地理的にみれば北京と同じだと思われる
成都、  30.0℃、         29.9℃
重慶、  33.6℃、         33.9℃

中国はこの4つの中で比較的涼しい方である首都・北京にて、グループリーグ3試合、準々決勝~決勝まで、全6試合を行うという移動日が1日もない、非常に恵まれた日程を組んできた。

準々決勝
7/30、中国 3-0 イラク(北京、イラクのグループリーグは成都。なお、中国のグループリーグ最終戦は7/25、イラクは7/26という、1日遅い上に移動させるという非常に不公平な日程だった)
7/31、イラン 4-3 韓国(済南、イランのグループリーグは重慶)

準決勝
8/3、中国 1-1(延長PK)イラン(北京)
8/3、日本 4-3(延長)バーレーン(済南、日本は重慶より移動)

決勝、中国 0-2 日本(北京)

中国は日程面でかなり開催国有利な日程を組んで優勝を狙ってきた。だが、その時の中国サッカー界には、それらのディテールの違いを結果に結びつけるだけ成熟していなかったということなのだろう。

なお、これから先はあくまで妄想だが、
もし日本が次にW杯を開催する場合、本気でW杯優勝を目指すならば、日程面で試すべきことを提案したい。フランス方式になるが、日本は決勝Tに入った後は、涼しい札幌から動かない。対戦相手には日本と当たる前には必ず暑い沖縄あたりで試合をしてもらうという日程を組む。暑い中で疲労を蓄積させ、さらに移動させた上での対戦は、試合の時にいくらか日本に有利に働くことは間違いないだろう。
これは今の段階では妄想でしかない。ドイツW杯で、視聴率を優先させるために日本代表を「夜の試合」からわざわざ「消耗の激しい昼間の試合」に変更させる日本サッカー協会と広告代理店の現体制では、とうてい受け入れられることはないだろう。(おそらく代表は関東:関西=2:1の割合で往復になるような日程を組まさせるような気がする。気候面では、あまり有利さが出ない日程だ)

おそらくこの案と似たような日程が組まれる時は、日本サッカーが成熟した時であるに違いない。だが、2007年のアジアカップにおいて、気候面がサッカーの質に及ぼす作用については、一部を除いて議論に上がることもなかった。多くの人々は、空調の効いた室内でTV画面越しにオシムジャパンの戦いぶりにフラストレーションをためるだけだったように思う。(もちろん代表の戦い方自体にも問題は多くあったことは間違いないのだが)
その代表が「とくダネ!」の小倉智昭であった。彼は多くの「普段よくサッカーを観てない人々」の典型的な代表例であるのかもしれない。少なくとも彼が世代交代するまでは、日本サッカーが成熟することはないのだろう。

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