リティの想定外、ディフェンスの文化
「俺たちは(ドイツ代表は)失点をゼロに迎えようと思ったら、ブラジル相手でも九割以上その目的を達成できるという自信があるんだ。ただ日本の場合、相手にもよるけれど。難しいだろうな...。」
湯浅健二氏の著作「サッカー監督という仕事」の中で、ギド・ブッフバルトが湯浅氏に語りかけた言葉だ。湯浅氏はその言葉をこう解釈している。
・ドイツ代表では選手一人ひとりの守備意識が高く、特に危急状態で『自主的な判断と決断』で効果的にプレーすることが、90分間を通してできるということだろう。ここが危ないと思ったら、その時点でマークしていた相手を放り出してでも何十メートルもフルスプリントでカバーリングに入る。マークしている相手に決して「ウラ」に入り込まれない、などなど
・決定的なピンチでも落ち着いて相手の攻めの意図を読み(予測し)、自主的な判断からクリエイティブで確実なプレーができるかどうか。
また2006年に鹿島の監督だったアウトゥオリは「日本の選手は、守備をやることに対して何か抵抗があるような感じがしています。かっこいい、かっこわるいという形でサッカーをやっているのではなくて、効率、仕事量、守備、攻撃問わず、やらなくちゃいけないことは、汚いことでも、きついことでも、やらなくちゃいけないんだということを現代サッカーでは求められる、と選手たちに伝えました」と記者会見で述べている。
http://nettaro.way-nifty.com/nettaro_blog/2006/10/j127_vs__4d96.html
この「日本サッカーのディフェンス問題」を端的にまとめているのがフィリップ・トルシエ元日本代表監督の「日本にはディフェンスの文化がない」という言葉だろう。(その前提の上で札幌の三浦監督や前アビスパ監督の松田浩は強固なディフェンスブロックとディシプリンをチームに構築することでディフェンスを強化し結果を出してきたように思う)外国人監督が日本で成功するためには、この現実をまず受け入れる必要があるのかもしれない。
今までのリティは、出場しているアビスパの選手全員にドイツ人のような責任感やディフェンスの意識が「プロならば当然備わっているもの」としてチーム作りを進めてきたように思う。もちろんリティがリーダーとして指名した久藤と布部の二人には備わっている。だが、他の前線の選手は90分を通してディフェンスにおける「責任」を全うすることができていない。この連敗の一番大きな原因はそこにある。疲労によるディフェンスの意識の弱体化、経験のなさによる攻守のバランスの崩れ。それらが少しずつ積み重なって大きなスペースを生み二人のベテラン達を走らせ疲弊させる。そして最後にはカバーできない穴が空き失点を重ねてきた。
もちろん辛抱強く、その意識を植え付けることでディフェンスを強化するという方法もあるだろう。だが、おそらくそれにはかなりの時間と試合数を費やさなければならないだろう。(現実的にはトルシエが取ったようにバランスを変えることから始めるべきだと思っている。
http://nettaro.way-nifty.com/nettaro_blog/2007/05/post_bfff.html
札幌戦後、リティは「私はドイツ人ですが、ドイツの考え方ではなく、日本人にとっての方法を考えなければいけないと思っています」ということも言っている。
http://nettarosouko.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_3d35.html
もちろん、リティが「どういう方法」を使うのかは、次の徳島戦を見るまでは分からない。それ以前に「日本にはディフェンスの文化がない。それはアビスパというチームに関しても同じである」という現実に気がついているのかもどうかも分からない。
個人的には、彼が今度こそ、その現実に目を向けてくれることを祈っているのだが..。
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